2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪における男子アイスホッケーは、12年ぶりにナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)のトップスターたちが帰還し、スポーツ史に深く刻まれる歴史的な大会となった。
今大会は、ゲイのプロホッケー選手を描き、世界的な腐女子現象を起こしたドラマ『Heated Rivalry』の影響で新たなファン層もアリーナに詰めかけ、これまでとは違う熱狂に包まれた。
最高峰の技術と、極限のプレッシャー下で露わになる剥き出しの感情が交差した「真のベスト・オン・ベスト」の総括。
氷上の同門対決ー昨日の友は今日の最大の敵
全選手がNHLから選抜される五輪アイスホッケーの醍醐味は、普段ロッカールームを共有する戦友が、母国のジャージを着て敵同士として激突するところだ。
アメリカ代表の主将オーストン・マシューズとカナダ代表のミッチ・マーナーは、トロント・メイプルリーフスでコンビを組む無二の親友だが、決勝戦では国の威信を懸けて激しくぶつかり合った。
オーストン・マシューズの紹介動画はこちら。
また、フロリダ・パンサーズの戦友であるアメリカのマシュー・カチャックとカナダのサム・ラインハートは、氷上で容赦ないボディチェックを交わし合ったものの、試合後はハンドシェイク・ラインで熱い抱擁を交わし、互いに畏敬を示した。
カナダ代表のネイサン・マッキノンはこう語る。
ここに来れば、今は新しいチームメイトがいる。短い時間だが、彼らが新しい兄弟になるんだ
五輪という舞台は選手たちのアイデンティティを書き換えるのである。
北米vs欧州、そして46年ぶりの奇跡
激闘の末、男子アイスホッケーは、アメリカが金、カナダが銀、そしてフィンランドが銅メダルを獲得した。
ミラノ・コルティナ五輪男子アイスホッケーの決勝戦の動画はこちら。
試合開始は10:10、ゴールデン・ゴールに至る最後のフェイスオフは2:50:59
2:56:13から、亡きチームメイトゴードローのユニホームを掲げウィニングラン
2月22日に行われたアメリカとカナダの決勝戦は、1980年の「氷上の奇跡」からちょうど46年目の記念日に行われた。
シュート数は、カナダが33、対するアメリカは18。
カナダがと試合を支配する中、勝敗を分けたのはアメリカのゴールテンダー、コナー・ヘレバックの神懸かり的なプレーだった。
コナーは、五輪の決勝史上最多記録を更新する41セーブを叩き出し、絶体絶命のピンチを幾度となく救った。
そして1-1で迎えた延長戦の開始1分41秒、ジャック・ヒューズがカナダの守護神の股を抜く劇的なゴールデン・ゴールを沈め、アメリカに46年ぶりの歓喜をもたらした。
一方、敗れたカナダにも歴史的な記録が生まれた。
負傷欠場した主将シドニー・クロスビーの穴を埋めるべくチームを牽引したコナー・マクデイビッドは、NHLプレーヤー参加五輪における新記録となる13ポイント(2ゴール、11アシスト)を叩き出し、MVPに輝くというすさまじい執念を見せた。
コナー・マクデイビッドの紹介動画はこちら
商業主義を超えた連帯
日頃莫大な年俸を稼ぐスーパースターたちが、無給かつ負傷リスクを負ってまで五輪の舞台に懸ける理由は何か。それは母国への圧倒的な誇りと、深い連帯感である。
アメリカ代表を語る上で欠かせないのが、2024年に飲酒運転の車にはねられ急逝したチームメイト、ジョニー・ゴードローへの追悼である。
大会中、アメリカのロッカールームには常に彼の背番号13が掲げられていた。
勝利の直後、選手たちはゴードローの背番号13のユニフォームを掲げウィニングラン。そして、ゴードローの娘ノアと、この日2歳の誕生日を迎えた息子ジョニー・ジュニアを氷上へ招き入れ、歓喜の輪の中心に迎え入れた。
ワレンスキーは涙ながらにこう語った。
僕らは彼のためにプレーし、彼を誇りに思わせようと話し合ってきた。そして、それを成し遂げられたと思う
アメリカチームは、亡き友との誓いを果たし、選手たちの絆の深さを証明したのだ。
戦いは2030年フランス・アルプスへ続く
12年ぶりの「ベスト・オン・ベスト」は、アメリカの新たな黄金世代の台頭と、高度な戦術、そして深い人間ドラマが交差する舞台となった。
ミラノ・コルティナの氷上で生まれたこの熱狂と遺産は、次なる2030年フランス・アルプス大会へと確実に引き継がれていく。
なぜなら、NHLは既に、2030年フランス・アルプス大会への選手の参加に合意しているからだ。

